雨に濡れた子犬みたい
僕は一人うつむいてあるく
最後の言葉空にうかべ
自分ではいた唾を被って
死んでしまえば楽なのかもしれない
逃げてしまえばらくなのかもしれない
明日はとまどう交差点の上で
立ち往生の猫が 孤独にあきて
優しさもとめ 八つ裂きにされていく
さがしものはなんですか
きっと右のポケットのなか
ずっとにぎりしめたまま
君はなぜ、僕をわすれ
欲望に負けてしまったの
もう二度と会えなくなってしまうのに
どうして、
真っ暗いとんねるをほりつづけるの
また僕は雨に濡れた野良犬になって
一人とぼとぼと、夜のとばりに
かくれんぼしていく。
善念
