冷たい壁

心労に不規則がたたり
心臓が痛む
息も苦しい。

娘は背中にしがみつく
僕は「死ぬ」と言ってヘタリ込んだが
最後の力を振り絞って
無理矢理背中に乗せ
走ると
悲鳴をあげた心臓は
キリキリキリキリ
青ざめる俺は
心臓を握りしめる

娘はなきさけぶ
もし僕が倒れたら
あなたは
自分の家の住所を言って
連れて行ってもらうんだよと
告げ

もうひと踏ん張り娘を背に乗せて
休める場所を探す。

座れる場所もなく
長く続く電車のホーム
端までたどり着いても何もなく

仕方なく柱によたれかかり
座り込んだ
その上に娘も倒れ混むように
のっかかった

電車に乗るものや降りるものが
僕らの前を過ぎて行くが
その足音しか聞こえない
もう何も気にならない

僕がもたれかかった
冷たい冷たい壁が
ひんやりと僕達を支えた
そのなんともひんやりと無機質な床と壁に
全てをなげうったとき
この冷たさが
気持ち良く、心臓の痛みを和らげた
このなんとも暖かい、冷たい壁よ
そしてこのなんとも頼りある
無愛想な汚い床よ
ありがとう
僕はまだ生きていきたい

 善念

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です